うたかた

どうせ世界は夢現だから…

染、色

5/30に一度観劇しただけの考察と解釈なんですけど、配信が決まったので初見の感想残しておこうと思います。答え合わせ用に。

※配信で初めて染、色に触れる予定の方は読まない方がいいです!

 

 

 

舞台「染、色」は、モラトリアム期の青年たちがアイデンティティを模索し自己を確立していく群像劇。主人公の深馬は真面目で人一倍プライドが高い甘ったれ坊やという印象。スランプを環境や他人のせいにして逃避し、そのことを誰にも相談できずに病んでしまった美大生の物語。なんか身も蓋もない解釈になってしまった…あわわ

 


染、色

読点のみで句点はない・・・この物語は完成していない?

読点は染みの意味もありそう。

腕に付いた塗料

真未の部屋の染みは深馬の中の真未?

深馬の首に付いた赤い塗料は真未の存在を仄めかす染み?

「一度付いた染みは消えることはない。そうだろ、真未」

 

原作の「染色」は未読なんだけど、読点を足して上記のような意味を持たせたとするとエンディングが全く違うのかな?原作と別物と聞いているので読んでしまうと「染、色」が上書きされてしまいそうで怖くて読めない・・・なので戯曲を発売してください!

 

 

冒頭に深馬が言ってた印象的なセリフ

「秋に咲いちゃった桜って次の春にも咲くのかなあ」

 

桜って卒業や新たな門出とかを連想しやすいので学生たちの葛藤や焦燥の物語にピッタリのモチーフだと思います。だけどここに出てくる「秋に咲く桜」はきっともっと深い意味があるはず…と思って調べました。

(https://s.japanese.joins.com/JArticle/246500?sectcode=A00&servcode=A00)

 

秋に咲いた桜(ソメイヨシノ)を自救現象と捉えるのならば、スランプに苦しむ深馬がストレス要因から身を守るために真未の人格を作り出したことと重なる。
しょっぱなから主軸となる伏線が張られていたんだな~震えた…

 

春に満開を迎えるソメイヨシノ=周囲の期待。だとすると春に咲けない自分は期待に応えられない終わった桜…才能の限界?ピークを過ぎてしまった?もう二度と咲くことはないのではないか・・・スランプに陥っていた深馬は、秋に間違って咲いてしまった桜に自身を重ねてしまったのかな。

 

ここまで書いて、この桜の件が原作に登場するのか気になって気になって…読んじゃった!笑

 

は?エンディングどころじゃなく全くの別物だな!?!?

 

どうしてこの原作からあの戯曲になった・・・天才か?
シゲアキ先生、劇作家デビューおめでとうございます!

自作の小説を舞台化する話になった時に染色を選んだのは、グラフィティアートのシーンを立体的にできたら舞台映えして素敵だろうなって閃いたからではないかと推測するのですが、いかがでしょうか…

そんな目論見を見事に成立させた演出家の手腕も素晴らしかった。

グラフィティアートをプロジェクションマッピングを使ってリアルに描いているように見せるのが面白かった。スプレーを噴射するSE(シューーーーとかシュッシュッとかの音)を役者の動きに合わせて出してるのかな?逆?絵とも連動してたから客席側向いてる二人に合わせてるんだよね?どっちにしろタイミング難しいだろうに正門くんも透子さんも自然だったな。(絵と演者どっちも観たくて困った)

 

コンテンポラリーダンスを踊るように描いていく様も美しくて心躍りました。しかも美しいだけじゃなく深馬が真未に染まっていく過程も表現されてたよね?初めは二人が争うように描いていたのに、協力し合ってアクロバティックに、最後の方は二人が混ざり合うようにシンクロしてて息ピッタリ!って思った気がする…んですが…うーん捏造かもしれない…時間経過とともに自分の記憶に自信がなくなる・・・

深馬の衣装の色の変化で深馬と真未の混沌具合を表現していたのは解りやすい伏線でよかったな。可視化されて解りやすいというだけで細かいことは全然解んないけどw


学内の滝川の部屋で酒を飲み、皆が酔いつぶれて寝ている間に杏奈と深馬がいい雰囲気になってイチャコラしはじめるんだけど(彼女のこと二か月もほったらかしてたくせにハァァァ!?ってぷんすこしたよね)、ちょうどその時に北見たちが目を覚まして焦った二人が離れた瞬間、展覧会に向けて深馬が描きかけていた油絵に杏奈がぶつかって、杏奈の上に落ちそうになるキャンバスを受け止めた深馬の腕が乾いていない絵の具で汚れてしまう。それを見た深馬は不気味に高らかに笑い出した。ここが人格解離の引き金?部屋全体に黒い液体の染みが波紋のように広がっていく様が不穏な先行きを予感させました。


終盤、時系列が巻き戻って真実(?)が再生されるクライマックス、伏線回収のターン。映像では効果的に使われる手法だけど(映画「親指さがし」が過った三宅担脳)それをリアルタイムで正門くんがひとりで演じるんですよ。台詞は一言も無く、表情と動きだけで、深馬と真未の人格を交互に物凄い熱量とスピードでバァーーーーーっと・・・圧巻だった。

 

今打ってて気づいたけど真実って「まみ」とも読めるね!深馬を逆にすると「まみ」とも読めるのはアナグラムでしょうけど。お互いの名前を訊いて「ま行ばっかりだね」って言ってたし。

 

突然ですがここからは、深馬人格=白深馬 真未人格=黒深馬 と表記します。

初めて黒深馬が白深馬の作品に手を加えるところは子供がワクワクしながら悪戯してるみたいな表情で可愛かったな。グラフィティアートをしてる時の表情は最初物凄くキラキラ活き活きしていて、描きたいものを描きたいように描けている自由を手に入れた喜びに満ち溢れているようにも見えたけど、染まっていくごとに無垢な顔が狂気じみていって怖かった。

そんな黒深馬と、光を失った目をした白深馬のシーンが間髪入れずに何度もスイッチングするので一瞬、中の人のメンタルが心配になってしまった。(正門くんが過ったのはこことコンテの脚上げの時だけです。柔軟性…笑)

そして自慰のシーンなんですけど・・・自分が作り出した理想の自分を追いかけて、ずっと自分で自分を慰めていたってことの象徴でしょ?目を背けたくなるほど哀れでもらい泣きしそうでした。

最後、虚ろな目ですがるように杏奈に電話するんだけど、しゃべり方も仕草も子供みたいで、か、かわいい…抱きしめてあげたい…って思ってしまって悔しい。ズルい男だよ深馬。中の人が正門くんじゃなくてもそう思えたのだろうか・・・

 

伏線回収のターンを観るまでは真未との事後、逢瀬の証拠を首筋に着けたまま杏奈の家に食材持ってやって来て鍋を振る舞う深馬にとことんクズなのか?と思ったと同時にゴキブリの件とかその他諸々人格破綻しちゃってない?ヤバいな??まるでヒメアノ~ルの森田じゃねぇか…とも思ってて…

あと滝川が偽ポリダクトリーとして義指を使って6本指のタギングを残したシーンも、ひとりでもできるよっていう深馬と真未がひとりであることの伏線のひとつだったのかな、って黒深馬が同じように義指を使って6本指のタギングをしてたのを見た時思ったりとか…

とにかく、前半に引っかかったところが後半でキレイに回収されていくので、めちゃめちゃ気持ちよかった!

 

このあちこちに伏線が張り巡らされた戯曲を成功させるには演出もさることながら役者の技量が不可欠だったと思うので、キャストの方々も皆さん素晴らしかったです!人数少ない方が物語に没入しやすくて好きかも。

とにかく正門くんが凄すぎてデビュー前にサクッとアイドルやめて俳優になっちゃうかもしれない…ってゾッとした。ドライなとこあるから・・・

グローブ座を出て駅まで歩いてる時、これメンバー観たら嫉妬するかな、してほしいなって思った。間違いなくギアは一段階上がるだろうな~!早く観てほしい!!

(※この辺まで6月上旬に書いたので…まさか全員で観劇してくれるとはね!嬉)

 

 

真未は「(私が)誰かだなんて、そんなに大事なことかな?」って言ったけど、真未の解釈によって真未が消えてからの深馬の人生変わってくるよね?

私の中では、2つの説で揺らいでる。

①現実の柵とか理性を取っ払った本来の深馬

自由に純粋に創作できていた子供の頃に近いというか。真未に染まっていくほど理性が無くなって無邪気になっていったように思う。北見と取っ組み合いのケンカしたり、杏奈が北見に会ってたことを罵ったり。真未のスプレー隠したのとかも。

②深馬がなりたい理想像

北見の才能について深馬は凄いと思ってる感じだけど真未はけちょんけちょんに貶してたので、そんだけ言えるくらいの圧倒的才能が欲しいと思っている?

 

それと、理想の女性像でもあるのかな?たぶん深馬は自分しか愛せないタイプの人間だと思うので、自分の才能を引き出してくれる女性を求めていると思う。あくまでも自分主体。杏奈のことは好きだけど自分からは追いかけることはない都合のいい女。そうか…杏奈健気なのに可哀想って思ってたけど違うかも?このままいくと共依存で深馬益々ダメになるパターン?えーーーっっっ

あ、私メンヘラだから深馬のこと抱きしめてあげたいとか思ったのかも。杏奈だけには感情移入してないつもりだったのになんてこったい・・・

2つじゃなくて3つ?もうわかんねー!(急に投げた)

 

①の場合

秋に一度咲いた桜は来春にもう一度咲くことはないけど、桜の木自体が生きていればその次の春にはまた普通に咲くことができるんですよね。そのことに気付くことができれば深馬は再び開花できる可能性があるんだよ!実際、深馬は自ら留年を選んだので、次の春に咲く準備に入ったってことだと思いたいんだけど・・・講師にならないかって誘われてる話が引っかかるぅ・・・滝川ルートへの伏線?

 

②の場合

深馬が真未人格の時に描いたグラフィティアートは本当に描いていてたのか?
三人で飲んでる時、深馬が実はあのグラフィティは自分が描いたんだって言ったあと、北見と原田は驚きもせず「まだダメ(治ってない)なのか…」って愕然とするので全部幻覚だったの?

滝川が吐いた言葉が全部深馬の言葉だとしたら、滝川の偽ポリダクトリーも深馬の人格ってことない?深馬の中では滝川は警察に捕まったことになってるけど、もう一度画家としてやっていくためにフランスに行った方が事実だよね?

原田が撮っていた滝川の動画も深馬が映っていたとかない?

深馬が描いたと思ってるグラフィティが実は催し物でロランス何とかっていうアーティストが描いたもので、それを滝川人格の深馬が偽ポリダクトリーとしてタギングを上書きしてたとか・・・

怖っ!ホラーじゃん!!!

 

シゲアキ先生、どの辺がロマンチックですか??

 

(真未は居なかったのに、そこかしこに居た形跡が残されている演出あたりでしょうか…)

 

たまたまで首席になれるほど甘い世界ではないので、深馬の考え方次第でまた花を咲かす事が出来るよ!春じゃなくてもいつでも咲いていいし、桜の花じゃなくてもいいんだよ!ていうメッセージだよね?って思う反面、真未の「私がいれば、あなたは何にだってなれるんだよ」ってことは真未がいなくなった深馬は何にもなれないの!?一度付いた染みは消えるの?消えないの?どっちーーーー????って思考の繰り返し・・・みんな幸せになって!!!

 

実は後半、尿意との戦いで気もそぞろだったので配信嬉しみ~♪

改めて全然違う考察生まれるかもな!楽しみ!!

 

話がとっちらかっちゃって全然まとまらなくて恥ずかしい・・・

最後まで読んでくれた方、ありがとうございました!